井上靖氏と仏像 その3

白沙村荘 存古楼
白沙村荘 存古楼
これはずっと昔のことになります。この前の戦というと、京都では応仁の乱のことのようですが、そこまでの昔でなく、太平洋戦争の前、井上先生が毎日新聞の記者をされていた頃の話です。当時、美術担当の記者で、橋本関雪先生をたずねたところ、「すこし待つように」といわれ、じっと待っていましたが、関雪先生がそのことをすっかり忘れ、一日待たされたそうです。関雪先生は申し訳ないと、収集した仏像をおいてある部屋へ井上先生をつれて行き、「どれでも好きな仏像をもっていきなさい」といわれました。棚からぼたもち、と思ったかどうかは分かりませんが、井上先生は仏像を一ついただいて帰ったそうです。
 
その話を聞いてしまった松本館長は、井上家の菩提寺にある、両手のない仏像のことを思い出しました。「ひょっとして、あの仏像は関雪先生からいただいた仏像ではないか」と考えだしたら、もう頭の中は、そのことでいっぱいに。その上、橋本関雪記念館の副館長シンジさんに、「うちにどういうわけか、仏像の両手だけあります。」といわれてしまうと、「もしかしたら」の想像が確信へ変わるのに、時間はかかりませんでした(館主の想像)。8月の京都の暑さは、人の心を不思議な別の世界へいざなうのかもしれません。
 
さてこのお話は、伊豆と京都を舞台にし、仏師の先生や、京都市の教育委員会、京都新聞まで巻き込んだ(多少オーバーですが)物語へと発展していきます。

伊豆天城 船原温泉

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